不条理な人間模様をシニカルな視点で描く、オフビート・ブラック・コメディ!神奈川芸術大学映像学科の助手・奥田は、事なかれ主義の教授陣と問題ばかり起こす学生との間で、板ばさみの日々を過ごしている。そんなある晩、奥田は学生が大学の機材を盗みだす現場に遭遇してしまう。事件が表沙汰になることを恐れた教授陣は、奥田に“ウソの報告書”の作成を指示。しかしその報告書をきっかけに、事態は思わぬ方向へと進んでいく…。神奈川芸術大学映像学科という架空の大学を舞台に、社会人ならば誰もが思い当たる“組織の理不尽”を描いた『神奈川芸術大学映像学科研究室』。本作は、東京藝術大学大学院映像研究科第7期修了制作として制作された学生映画である。しかし緻密な脚本に裏付けられたオフビートなストーリー展開や笑いのツボを押さえた人物描写、そして社会を鋭く見透かすシニカルな世界観が、これまでの“学生映画”“自主制作映画”の枠を大きく超えた、質の高いエンターテインメント作品として異彩を放つ。黒沢清、大森一樹。2大監督に師事した新鋭・坂下雄一郎。日本映画の将来を担う気鋭の才能を輩出し続ける東京藝術大学から、またも見逃せない才能が現れた。監督は、大阪芸術大学映像学科を卒業後、同学科での助手勤務を経て、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻第7期生として学んだ坂下雄一郎。大阪芸術大学では大森一樹監督、東京藝術大学では黒沢清監督と、社会の不条理さを描き出してきた2人の映画監督に師事し、人間描写の鋭さと、それをシニカルな笑いをもって映し出す確かな演出力に大きな期待が寄せられている。東京藝大在学中に制作した『ビートルズ』では第22回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門 北海道知事賞を受賞。また2013年に公開されたオムニバス映画『らくごえいが』の一編、古典落語「猿後家」を題材にした『猿後家はつらいよ』を監督し、高い評価を得る。そして自身の大学助手としての経験も生かし、『神奈川芸術大学映像学科研究室』を監督。大学院修了制作でありながら“大学を舞台に組織の理不尽を描く”という、かつてない問題作で長編デビューを飾る。『映画は、人に観られてから完成するんだよ』これまでにない上質な“学生映画”を劇場公開へ!2013年7月、本作はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013 長編部門(国際コンペティション)にノミネート。次代を担う若手クリエイターの発掘と育成を目的に開催される同映画祭において、見事「審査員特別賞」を受賞。さらに映画祭にエントリーされた作品から若い才能を見出し、劇場公開へとつなぐプロジェクト「SKIPシティ Dシネマプロジェクト」の第4弾作品に選出され、公開が実現した。個性が際立ちながらも、リアルな人物像を体現した若手実力派俳優全員がハマリ役ともいうべき見事なキャスティングも本作の魅力。仕事への情熱も失い、教授陣に振り回される主人公・奥田には『ニュータウンの青春』『東京プレイボーイクラブ』で注目を集める飯田芳。生真面目に淡々と仕事をこなす同僚・安藤には、『彩~aja~』で映画初主演ながら第10回モナコ国際映画祭最優秀新人賞に輝いた笠原千尋。そして学生の上映会を担当しているもう一人の助手・斉藤には、『桐島、部活やめるってよ』の好演も記憶に新しい個性派・前野朋哉がコミックリリーフ的なキャラクターを演じて作品にリズムを与えている。映画監督としても活躍する前野朋哉と監督の坂下雄一郎は、大阪芸術大学映像学科の先輩・後輩の関係でもある。さらに多摩美術大学映像演劇学科を卒業した主演の飯田芳をはじめ、キャスト・スタッフの多くが芸大・美大出身。実際に芸大・美大で映像や演劇を学んでいたキャスト・スタッフの存在が、大学の映像学科という特殊な空間の雰囲気を、生き生きと映し出している。フィクションの中にある確かなノンフィクション。 社会の理不尽さをシニカルな視点で捉えたリアルな人間模様は、オフビート・ブラック・コメディを奏でることで観た者すべてに笑いを誘う。